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就職困難者になると失業保険は何日ぶん増える?該当する5つと当てはまらない人

失業保険の基本

就職困難者とは、身体や精神の障害、あるいは社会的な事情により、一般の求職者に比べて再就職が著しく困難な人のことです。失業保険(失業手当)を受け取るときの区分のひとつで、雇用保険法22条2項に定めがあります。ハローワークで認定されると、失業保険(基本手当)を受け取れる日数が長くなります

該当するのは、雇用保険法施行規則32条が挙げる次の5つです。いずれか1つに当てはまれば認定されます。

  • 身体障害者手帳を持っている人
  • 療育手帳を持っている人
  • 精神障害者保健福祉手帳を持っている人。手帳がなくても、統合失調症・そううつ病(うつ病を含む)・てんかんにかかっていて、症状が安定し就労が可能な状態なら対象
  • 保護観察中で、保護観察所長からハローワークに職業のあっせんの連絡があった人
  • 社会的事情で就職が著しく阻害されている人 アイヌ地区住民、中高年齢失業者等求職手帳の所持者、35歳以上で安定所長が就職は著しく困難と認めた人

認定されると、次の3つが変わります。

  • 所定給付日数が伸びる 自己都合の90日に対して、45歳未満は300日、45歳以上65歳未満は最大360日になる
  • 求職活動の実績が1回でよくなる 通常は認定のたびに2回以上必要なところが1回で足りる
  • 常用就職支度手当の対象になる 残日数が3分の1を切ってから就職したときに受け取れる

この記事では、就職困難者として認定される条件と、年齢やブランクのように当てはまりそうで当てはまらない事情を分けたうえで、障害者手帳を持っていない場合にどう扱われるか、申請の流れと必要書類、そして受け取る総額が実際にいくら増えるのかを、条文とハローワーク向けの事務マニュアルで確認します。待期期間や給付制限は変わるのか、会社に知られることはあるのかというデメリット側も、同じ場所にまとめました。

就職困難者とは事情により、一般の求職者に比べて再就職が著しく困難な人のこと

失業保険(基本手当)は、次の仕事が見つかるまでの生活を支えるためのお金です。だから、受け取れる日数は「どのくらいで次の仕事に就けそうか」を前提に決められています。自己都合で辞めた人の多くが90日なのは、その想定です。

ところが、本人が働く意思も能力もあるのに、障害や社会的な事情のせいで就職までに時間がかかる人がいます。同じ90日では生活が持ちません。

そこで雇用保険法は、そうした人を「就職困難者」として別の区分に置き、受け取れる日数を長くしています。ハンデのぶんを日数で埋める、という考え方です。

では、実際に何日になるのか。45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日です。自己都合の90日と比べると、受け取れる期間が3倍から4倍に増えることになります。

所定給付日数の比較表。自己都合は90日、就職困難者は45歳未満300日、45歳以上360日です。

就職困難者にあたらない場合と並べると、差がはっきりします。

区分 日数
自己都合(一般の離職者) 10年未満は全年齢90日。10年以上20年未満で120日、20年以上で150日
会社都合(特定受給資格者) 年齢と加入期間で90日から330日
就職困難者 150日、300日、360日

自己都合は10年勤めていなければ全年齢で90日です。1年以上5年未満も5年以上10年未満も、どちらも90日です。所定給付日数が120日になるのは、10年以上勤めた場合からです。

会社都合か自己都合かとは関係なく決まる

失業保険の日数は、離職理由で決まると説明されることが多いです。就職困難者は、そこに並ぶもう1つの離職理由ではありません。離職理由とは別に、本人の状態で判定される区分です。だから離職理由がどれであっても、就職困難者にあたればそちらの日数が使われます。

区分 中身 日数
離職理由 一般の離職者 自己都合など、正当な理由がない離職 90日から150日
特定受給資格者 倒産や解雇など会社都合の離職 90日から330日
特定理由離職者(1) 更新を希望したのに雇止めになった場合 90日から330日(特定受給資格者と同じ。2027年3月31日までの離職)
特定理由離職者(2) 体力の不足、病気、けがなど正当な理由のある自己都合 90日から150日(一般の離職者と同じ)
本人の状態 就職困難者 障害や社会的事情で就職が著しく困難 150日・300日・360日

ハローワークの所定給付日数の表でも、特定受給資格者の表に「就職困難者を除く」と注記されています。両方に当てはまる人は、就職困難者の表を使うということです。

この日数を定めているのが雇用保険法22条2項です。

前項の受給資格者で厚生労働省令で定める理由により就職が困難なものに係る所定給付日数は、同項の規定にかかわらず、その算定基礎期間が一年以上の受給資格者にあつては次の各号に掲げる当該受給資格者の区分に応じ当該各号に定める日数とし、その算定基礎期間が一年未満の受給資格者にあつては百五十日とする。
一 基準日において四十五歳以上六十五歳未満である受給資格者 三百六十日
二 基準日において四十五歳未満である受給資格者 三百日

条文が指しているのは2つです。「厚生労働省令で定める理由」の中身は別に決まっていること。そしてこれは日数の規定であって、受給資格そのものの規定ではないことです。

就職困難者に該当するのは以下の5つ

就職困難者の該当判定フロー。障害者手帳があれば対象、なくても統合失調症・そううつ病・てんかんなら対象です。年齢やブランクだけでは該当しません。

では、誰が就職困難者になるのか。22条2項は「厚生労働省令で定める理由により就職が困難なもの」としか書いていません。その中身を決めているのが雇用保険法施行規則32条で、次の5つが挙がっています。このうち1つに当てはまれば該当します。

法第二十二条第二項の厚生労働省令で定める理由により就職が困難な者は、次のとおりとする。
一 障害者の雇用の促進等に関する法律第二条第二号に規定する身体障害者
二 障害者雇用促進法第二条第四号に規定する知的障害者
三 障害者雇用促進法第二条第六号に規定する精神障害者
四 更生保護法第四十八条各号又は第八十五条第一項各号に掲げる者であつて、その者の職業のあつせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあつたもの
五 社会的事情により就職が著しく阻害されている者

障害者手帳を持っている場合

身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを持っていれば、その時点で対象です。条文は障害者雇用促進法の定義を借りていて、実務では手帳が判断のもとになります。

手帳がなくても対象になる病気がある

手帳を持っていなくても、統合失調症、そううつ病(うつ病を含む)、てんかんにかかっている人は対象になり得ます。ただし「症状が安定し、就労が可能な状態にあること」という条件が付きます。

保護観察中の場合

更生保護法48条各号または85条1項各号に掲げる人で、職業のあっせんについて保護観察所長からハローワークに連絡があった人です。保護観察中というだけでは足りず、連絡があることが要件になっています。

そのほかの事情で就職が著しく難しい場合

「社会的事情により就職が著しく阻害されている者」という枠があります。条文だけでは中身がわかりませんが、厚生労働省がハローワークの窓口向けに出している事務のマニュアルに、具体的な中身が書かれています。「雇用保険に関する業務取扱要領」といって、誰でも読める形で公開されているものです。

これは、具体的には、次の者をいう。
a アイヌ地区住民
b 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第22条の規定に基づく中高年齢失業者等求職手帳を所持する者
c その他教育・就労環境等により安定所長が就職が著しく困難であると認める者であって、35歳以上のもの

cに「35歳以上」という年齢の線があります。つまり年齢は、それだけで該当する理由にはならない一方で、この枠の入口としては効いてきます。

読者

40歳で、ブランクが長くて就職先が見つかりません。ここに当たりますか。

編集部

35歳以上という入口は満たしています。ただし「教育・就労環境等により安定所長が就職が著しく困難であると認める者」なので、当たるかどうかを自分で判定することはできません。

ブランクの長さだけで自動的に認められるものでもありません。逆に、ほかの4つに当たらないからといって、そこで終わりでもありません。求職の申込みのときに事情を伝えて、判断を仰いでください。

どれに当たっても日数は同じ

条文は5つを号に分けていますが、どの号で認められても所定給付日数は変わりません。45歳未満なら300日、45歳以上65歳未満なら360日です。号の違いは、窓口で何を出して確認するかの違いにすぎません。

障害者手帳を持っていなくても、うつ病なら該当する可能性がある

障害者手帳がなくても対象になる3つの病気。統合失調症、そううつ病(うつ病を含む)、てんかんです。症状が安定し就労が可能な状態にあることが共通の条件です。

法第二条第六号の厚生労働省令で定める精神障害がある者は、次に掲げる者であつて、症状が安定し、就労が可能な状態にあるものとする。
一 精神保健福祉法第四十五条第二項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
二 統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんにかかつている者

つまり、まとめると次のとおりになります。

質問 条文から言えること
手帳がなくても該当するか 手帳はひとつ目の道で、ふたつ目は手帳を前提にしていません。統合失調症・そううつ病・てんかんにかかっている人は、手帳がなくても対象になり得ます
うつ病は入るか 入ります。条文のかっこ書きに「そう病及びうつ病を含む」と明記されています
適応障害は入るか 挙がっているのは統合失調症・そううつ病・てんかんの3つで、適応障害は入っていません。手帳の交付を受けていれば、手帳の道があります

このマニュアルは「なお、双極性障害とそううつ病は同義であることに留意すること」とも書いています。診断名が双極性障害でも、条文上の「そううつ病」と同じものとして扱われます。

そして全部に共通してかかるのが、「症状が安定し、就労が可能な状態にあるもの」という条件です。

診断書があれば自動的に300日になる制度ではありません。求められているのは「働けない」ことではなく、「症状は落ち着いていて働ける、けれども就職はむずかしい」という状態です。ここを取り違えると、申請そのものが噛み合わなくなります。

編集部

うつ病は条文に明記されているので、可能性はあります。ただし「症状が安定し、就労が可能な状態にあるもの」という条件が付きます。

まだ療養が必要な段階なら、順番が違います。先に健康保険の傷病手当金を使い、失業保険はハローワークで受給期間の延長を申請して先送りにします。判断するのはハローワークなので、いまどちらの段階にいるかを窓口で相談してください。

就職困難者だと失業保険の総額はいくら増えるか

受給総額の比較。月給30万円なら自己都合90日で約57万円、就職困難者300日で約189万円、差は約132万円です。

受け取る総額は「1日あたりの金額 × 日数」です。1日あたりの金額(基本手当日額)は、退職前6か月の賃金の合計を180で割った額のおよそ50〜80%です。退職前の給与が少なかった人ほど、この割合は高くなります。

ここに退職前の月給と年齢、日数を入れると、受け取る総額の目安が出ます。

自己都合で10年未満なら90日、就職困難者なら45歳未満300日・45歳以上360日です。

1日あたり(基本手当日額)

受け取る総額の目安

就職困難者300日なら

令和8年8月1日から令和9年7月31日までの上限額と計算式で試算した目安です。実際の額は退職前6か月の賃金と離職理由をもとにハローワークが決めます。賞与は計算に入りません。

就職困難者かどうかで変わるのは日数だけです。1日あたりの金額は変わりません。月給別に当てはめると、次のようになります。

退職前の月給 基本手当日額 自己都合90日 就職困難者300日
20万円 5,036円 約45万円 約151万円 約106万円
25万円 5,775円 約52万円 約173万円 約121万円
30万円 6,307円 約57万円 約189万円 約132万円

45歳以上で360日になる場合は、受け取る総額がさらに伸びます。月給30万円の人なら 6,307円 × 360日 で約227万円、自己都合90日との差は約170万円です。

就職困難者でも1日あたりの金額には年齢ごとの上限がある

離職した日の年齢 1日あたりの上限 就職困難者の日数 上限額で受け取った場合の最大額
30歳未満 7,450円 300日 約224万円
30歳以上45歳未満 8,270円 300日 約248万円
45歳以上60歳未満 9,110円 360日 約328万円
60歳以上65歳未満 7,830円 360日 約282万円

45歳未満は300日が上限です。360日になるのは45歳以上65歳未満だけなので、年齢によって掛ける日数が変わります。

この上限は毎年8月1日に変わります。ここに書いた額は令和8年8月1日から令和9年7月31日までのものです。金額を確かめるときは、その額がいつの年度のものかを見てください。

広告で見かける大きな金額は、ほぼ「45歳以上・日額は上限額・360日」がそろった場合の話です。自己都合で90日の人は、45歳以上60歳未満の上限額9,110円で計算しても約82万円にとどまります。

自分が5類型のどれかに当てはまるかを、契約しなくても確かめられます

無料診断は該当チェックの形になっていて、5つの類型のどれかにあたる可能性があるかを確かめられます。当てはまらない場合も、いまの状況ならどの制度の話になるのかがわかります。

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受給の可否と日数はハローワークの審査で決まります。事実と異なる申請を勧めるものではありません。

就職困難者は日数だけでなく、早く就職したときのお金も手厚い

就職が決まると常用就職支度手当というお金が出る

再就職手当は、所定給付日数を3分の1以上残して就職した人向けの手当です。残日数が3分の1未満になってから就職した就職困難者には、常用就職支度手当という別の手当があります。雇用保険法56条の3第1項2号です。

金額を決めているのは施行規則83条の6です。

当該イからニまでに定める額に九十(当該受給資格者(受給資格に基づく所定給付日数が二百七十日以上である者を除く。)に係る支給残日数が九十日未満である場合には、支給残日数(その数が四十五を下回る場合にあつては、四十五))に十分の四を乗じて得た数を乗じて得た額

原則は基本手当日額 × 90 × 10分の4です。残日数が90日を切ったら90の代わりに残日数を使いますが、その置き換えから「所定給付日数が270日以上の人」は外されています。

所定給付日数 支給残日数 掛ける日数
300日・360日(就職困難者) 残日数にかかわらず 90日(270日以上なので置き換えの対象外)
150日(算定基礎期間1年未満の就職困難者) 90日以上 90日
150日(同上) 90日未満 支給残日数。45日を下回るときは45日

就職困難者で算定基礎期間が1年以上なら300日か360日なので、残日数がいくつでも90日分で計算されます。150日の人は残日数が50日を切ってからの手当になるため、実際には支給残日数(45日未満なら45日)で計算されます。

就職したときの手当は、失業保険とは別の上限額で計算する

再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当の計算に使う基本手当日額には、基本手当そのものとは別の上限があります。基本手当を計算するときの上限をそのまま当てると、金額を多く見積もることになります。

離職した日の年齢 就業促進手当の計算に使う上限
59歳以下 6,745円
60歳から64歳 5,454円

基本手当日額そのものの上限は45歳以上60歳未満で9,110円ですが、再就職手当や常用就職支度手当を計算するときは6,745円で頭打ちになります。この額も令和8年8月1日から令和9年7月31日までのものです。

実際の金額に当てはめると、次のようになります。

基本手当日額 計算に使う日額 常用就職支度手当
5,036円(月給20万円の例) 5,036円 約18万円
6,307円(月給30万円の例) 6,307円 約22万円
9,110円(45歳以上の上限額) 6,745円で頭打ち 約24万円

受けるには、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職することなどの要件があります。要件を定めているのが施行規則82条2項、誰が対象になるかを定めているのが施行規則82条の3第2項で、別の条文です。

なおこの手当は就職困難者だけのものではありません。対象は施行規則82条の3第2項に7つ挙げられていて、就職困難者はそのうちのひとつです。ほかに45歳以上で再就職援助計画の援助対象労働者になった人、45歳以上の日雇受給資格者、沖縄失業者求職手帳を所持している人なども対象です。

再就職手当は、早く決まって日数が多く残っているほど多くなる

残日数を3分の1以上残していれば再就職手当のほうです。金額は基本手当日額 × 支給残日数 × 10分の6で、残日数が所定給付日数の3分の2以上あるときは10分の7になります(56条の3第3項1号)。

こちらも日額は6,745円(60歳から64歳は5,454円)で頭打ちです。日額9,110円の人でも、再就職手当の計算は6,745円で行われます。

就職困難者は所定給付日数が長いぶん残日数も多く残りやすく、3分の2以上の区分に入りやすくなります。

認定日までにやる求職活動が1回で済む

失業の認定を受けるには、認定対象期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要です。就職困難者は、この回数が1回でよいと決まっています。

ただし、次のいずれかに該当する場合には、上記(a)にかかわらず認定対象期間中に行った求職活動実績は1回以上あれば足りるものとする。
ⅰ 法第22条第2項に規定する厚生労働省令で定める理由により就職が困難な者(50304参照)である場合

ハローワークの窓口向けマニュアル(業務取扱要領)51254の記述です。全国版のサイトには書かれていませんが、労働局によっては自局のページで案内しています。

同じ規定に、就職困難者以外の1回でよい場合も並んでいます。最初の認定日の認定対象期間、認定対象期間が14日未満のとき、求人に応募したときです。

あわせて、給付制限が明けたあとの初回認定も回数が変わります。マニュアルは「給付制限期間と初回支給認定日に係る給付制限満了後の認定対象期間をあわせた期間に求職活動を原則3回以上(給付制限期間が2か月の場合は原則2回以上、給付制限が1か月の場合は原則1回以上)行った実績を確認できた場合」としています。いまの自己都合は原則1か月なので、1回で足ります。自己都合の給付制限は令和7年4月から原則1か月なので、いまはこの1回のほうが当てはまります。

就職困難者に認定されるデメリットと注意点

日数が増えること自体に不利益はありません。よく心配されるのは次の5つです。

心配されること 実際
会社に知られるか ハローワークでの手続きが前の勤め先や次の勤め先に通知されることはありません。離職票に就職困難者かどうかを書く欄もありません
手帳を取ると不利になるか 手帳の取得と失業保険の手続きは別です。ただし取得には本人の判断が要るので、必要かどうかは主治医や自治体の窓口と相談してください
認定に時間がかかるか 裏づけの書類を用意する時間はかかります。求職の申込みの時点で窓口に伝えておくと進みやすくなります
360日を全部受け取れるか 所定給付日数は上限で、就職すればそこで終わります。受給期間も離職日の翌日から1年(360日の人は1年と60日)で、過ぎると残っていても受け取れません
働ける状態でないと使えない 基本手当は「いつでも就職できる能力がある」ことが前提です。療養が必要な段階では受け取れません

このうち実質的にいちばん大きい制約は、最後の「働ける状態でないと使えない」です。療養が必要な段階では、そもそも基本手当を受け取れません。

就職困難者の認定を受ける流れと必要書類

手順 やること
1 離職票、本人確認書類、マイナンバーがわかるもの、写真、本人名義の預金通帳を持って、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをします
2 就職困難者にあたる可能性があることを窓口に伝えます。ここで伝えないと通常の区分で進みます
3 裏づけの書類を出します。手帳を持っている人は手帳、持っていない人は主治医の診断書などです
4 ハローワークが判断します。認められれば受給資格者証の所定給付日数に反映されます

用意する診断書は、病名だけでは足りません。施行規則の要件に対応するので、症状が安定していること、就労が可能な状態であることが読み取れる必要があります。どの様式で何を書いてもらうかは窓口で指示があるので、先に相談してから主治医に依頼するほうが手戻りがありません。

就職困難者かどうかは、ハローワークで最初に手続きした日の状態で決まる

窓口向けのマニュアル(業務取扱要領)は、就職困難な者を「受給資格決定時において次の状態にある者をいい、受給資格決定後にその状態が生じた者は含めない」と定めています。手続きを始めたあとに状態が変わっても、そこから日数が伸びるわけではありません。

求職の申込みの時点で窓口に伝えるかどうかが分かれ目になります。

ただし、あとから判明した場合の救済があります。

受給資格決定時に、就職困難な者であるかどうか判明していない場合でも、支給終了日(期間満了により支給が終了した日を含む。)の翌日から2年を経過しない日までに、受給資格決定時において就職困難な者であったことが判明すれば、就職困難な者として取り扱い、必要に応じ支給台帳及び受給資格者証又は受給資格通知の所定給付日数を変更する

受給資格を決めた時点で当てはまっていたことが後から分かった場合は、支給が終わった日の翌日から2年以内なら日数を直してもらえます。あとから手帳が交付された、あとから診断がついたという場合は、窓口で相談してください。

手帳がなくても医師の証明書で確認できる

確認の方法も同じマニュアルに書かれています。安定所長が必要と認めるときは、事実を証明する書類の提出を命ずることができます(施行規則19条2項)。確認は原則として職業紹介部門への照会で行い、それで確認できない場合は医師の証明書その他の書類によるとされています。

区分 マニュアルが挙げている確認の方法
身体障害者 求職登録票または身体障害者手帳。ただし医師の証明書によることもできます
知的障害者 求職登録票または療育手帳
精神障害者 手帳があれば手帳。無い場合は統合失調症・そううつ病・てんかんにかかっていることの確認
保護観察中の人 保護観察所長から安定所長への連絡

判断するのはハローワークで、事業者ではありません。「認定を通します」と言う相手がいたら、その時点で話が違います。よりみちを含めて事業者にできるのは、書類を用意するときの案内までです。

読者

もう手続きを始めてしまいました。いま伝えても遅いですか。

編集部

受給資格を決めた時点で当てはまっていたのなら、遅くありません。マニュアルは、支給が終わった日の翌日から2年を経過しない日までに判明すれば所定給付日数を変更する、と定めています。

逆に、手続きを始めたあとに状態が生じた場合は含まれません。判断の基準になるのは、あくまで受給資格決定時の状態です。

就職困難者でも雇用保険は12か月以上必要(6か月でいいは誤り)

就職困難者になると加入期間が6か月でよくなる、という説明を見かけます。条文はそうなっていません。日数の規定と、受給資格そのものの規定は別だからです。

受給資格を決めているのは13条です。原則は「離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上」。6か月に読み替えられるのは13条2項ですが、その対象は特定理由離職者と、23条2項各号に該当する者(特定受給資格者)だけです。就職困難者はここに入っていません。

期間の名前 何を決めるか 条文
被保険者期間 受給資格があるかどうか。原則2年間に12か月 13条
算定基礎期間 日数が150日か300日か360日か 22条2項・3項

つまり就職困難者と認められても、受給資格の12か月は別に満たす必要があります。被保険者期間が6か月でよくなるのは、その人が同時に会社都合や特定理由離職者にもあたる場合です。所定給付日数の表にある「1年未満は150日」の1年も算定基礎期間のことで、被保険者期間の話ではありません。

体力の不足や病気で辞めた場合(特定理由離職者)は、ここで効いてきます。日数そのものは一般の離職者と同じ90日から150日ですが、被保険者期間は6か月で受給資格を得られ、給付制限もつきません。就職困難者にあたるかどうかとは別に、この区分に当てはまらないかも窓口で確認してください。

療養中は傷病手当金、働けるようになってから失業保険

受け取る順番の図。療養中は健康保険の傷病手当金、働けるようになってから失業保険です。この2つを同じ時期に受け取ることはできません。

健康保険の傷病手当金は、健康保険法99条1項で「療養のため労務に服することができないとき」に支給されます。

失業保険は逆です。ハローワークは受給要件を「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない失業の状態にあること」と説明し、「病気やけがのため、すぐには就職できないとき」は受けられないと明記しています。

傷病手当金 基本手当(就職困難者を含む)
前提となる状態 働けない 働ける
根拠 健康保険法99条1項 ハローワークの受給要件・障害者雇用促進法施行規則1条の4
窓口 協会けんぽや健保組合 ハローワーク

だから同じ時期に両方を受け取ることはできません。雇用保険法37条8項も、健康保険の傷病手当金を受けられる場合には雇用保険の傷病手当を支給しないと定めています。

療養が必要な段階なら傷病手当金、働ける状態に戻ってから基本手当という順番です。その間に受給期間の延長を申請しておかないと、基本手当を受け取れる1年が過ぎてしまいます。

10か月プランと28か月プランは就職困難者の日数のこと

この記事を書いているよりみちも、退職給付金サポートを提供している事業者です。だから、この分野の商品名がどうなっているかは自分たちのこととして書きます。

2026年9月3日に、退職給付金サポートを掲げる事業者8社の料金ページと特定商取引法に基づく表記を実際に開いて確認しました。そのうち運営会社が異なる4社に、プランの期間として「10か月」「28か月」という同じ区切りがありました。

確認した社 どこに 書かれていた区切り
A社 特定商取引法に基づく表記 10か月・28か月
B社 特定商取引法に基づく表記 10か月・28か月・30か月
C社 トップページ 10か月・28か月
D社 トップページ 28か月

社名は伏せますが、確認した日のページは全文と画像で保存しています。残る4社の表記には、この日の時点で同じ区切りがありませんでした。

28か月の内訳図。傷病手当金の18か月と基本手当300日の10か月を足した数字です。後半は就職困難者に限られます。
プラン名 中身
10か月 300日。就職困難者で45歳未満の日数です
28か月 健康保険の傷病手当金が通算1年6か月=18か月。これに就職困難者の基本手当10か月を足した数字です
30か月 18か月+12か月(360日)。45歳以上の場合です

同じ日に確認した1社の特定商取引法に基づく表記には「10か月、45歳以上は12か月」と書いてありました。45歳で区切って300日と360日に分かれる給付は、法律上ここしかありません。プラン名の時点で、就職困難者と認められることを前提にした設計だということです。

よりみちのサービスにプラン名としての「10か月」「28か月」はありませんが、広告のよくある質問に「通常は10〜12か月間ほどの受給が見込まれます」と書いています。同じ数字の話です。この記事に書いたとおり、10か月も12か月も就職困難者と認められた場合の日数なので、誰にでも当てはまる期間ではありません。

大きい数字を見たときに聞くべきことは、うちに対しても他社に対しても同じです。その日数が出る条件は何か。自分はその条件を満たしているのか。料金の実額や相談件数の推移は、退職給付金制度のデメリットは22万円から77万円のサポート料金にまとめています。

金額と日数は法律が決まっていて、よりみちにも動かせません

日数は増えません
離職した日の年齢、雇用保険に入っていた期間、辞め方の3つで決まります。よりみちを含めて、事業者が動かせる要素は法律にありません。
変わるのは順番と整理のしかたです
いま療養が必要な段階なのか、働ける状態に戻っているのか。どちらの制度から使うかは、事実の整理で変わることがあります。
事実と違う申請は勧めません
不正受給になれば返還に加えて、受け取った額の2倍以下の金額の納付を命じられます。責任を問われるのは申請した本人です。

手続き自体は公的な窓口で無料でできます。無料診断は、契約の前に自分がどの制度の話をしているのかを確かめるためのものです。

よりみちの無料診断へ

就職困難者についてよくある疑問

就職困難者だと、待期期間や給付制限は短くなりますか

どちらも変わりません。待期の7日間はすべての受給資格者に共通で、就職困難者だから短くなることはありません。

給付制限の有無も、就職困難者かどうかではなく辞め方で決まります。自己都合の給付制限は令和7年4月1日以降の離職なら原則1か月です。退職日からさかのぼって5年間に、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格決定を受けたことが2回あり、今回が3回目にあたる場合は3か月になります。離職日前1年以内に教育訓練等を受けていた場合は解除されます。

就職困難者であることは会社にばれるのか

ハローワークでの手続きが前の勤め先や次の勤め先に通知されることはありません。離職票は会社が作りますが、就職困難者かどうかを書く欄はありません。判断は申請のあとにハローワークが行うので、会社が知る経路そのものがありません。

就職困難者だと再就職手当をもらえませんか

もらえます。所定給付日数を3分の1以上残して安定した職に就いたときは再就職手当、3分の1未満になってからの就職には常用就職支度手当があります。どちらもハローワークで申請します。

65歳以上でも就職困難者になりますか

22条2項の区分は「45歳以上65歳未満」までです。65歳以上で離職した場合は基本手当ではなく高年齢求職者給付金になり、この日数の区分は使いません。

途中で就職したら残りの給付日数はどうなりますか

そこで支給は終わります。ただし残日数に応じて再就職手当か常用就職支度手当を受けられます。所定給付日数は上限であって、全部受け取ることを目的にする制度ではありません。

この記事で参照した一次資料

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※ 受給の可否および金額は、失業保険はハローワーク、傷病手当金は加入している健康保険の審査により決まります。本サービスは不正な受給を促すものではありません。

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