この記事は、退職給付金サポートを提供している株式会社よりみちが書いています。同じ分野の事業者が自分たちの業界について書いた記事として読んでください。
「退職したら退職給付金がもらえます」「申請はサポートします」。そういう広告やLINEを見たあとで、この言葉を調べている人が多いと思います。
先に結論を書きます。失業保険や傷病手当金そのものは、受け取れる人が受け取って損をするお金ではありません。金額も期間も法律で決まっていて、誰に頼んでも1円も増えません。
デメリットとして本当に効いてくるのは、その申請を手伝う会社に払う料金のほうです。38社の料金を1社ずつ確認したところ、22万円から77万円まで開いていました。90日ぶんを受け取る人なら、受け取る額の4割が料金で消える計算になります。
この記事でわかること
- 「退職給付金」という名前の制度は法律上ありません
- 行政が「事業者の介入で給付額や期間が増えることはありません」と明記しています
- 申請サポートの相談件数は2021年度42件から2025年度216件
- 料金は実測で22万円から77万円。298,000円に6社が並びます
- 90日ぶんを受け取る人なら、料金は受給総額の約4割にあたります
退職給付金制度のデメリットは受け取るまでの不便さとサポート料金の2つ
ひとつは、失業保険や傷病手当金を受け取るまでの不便さです。もうひとつは、その申請を手伝う会社に料金を払ったときの負担です。この2つはまったく性質が違います。前の方は誰にでも同じようにかかり、後の方は契約するかどうかで決まります。
| どこに出るか | 中身 | 自分で減らせるか |
|---|---|---|
| 制度そのもの | 受け取り始めるまで時間がかかる。在職中の給与より少ない。働いた日は申告が要る。社会保険料と住民税は止まらない | ほとんど減らせません |
| 申請サポートの契約 | 料金。返金の条件。受給できなくても料金は戻らないことがある。解約時の違約金 | 契約するかどうかで決まります |
検索して不安になっている部分は、たいてい後者です。前者は不便ではあっても、金額が読めます。
退職給付金制度という名前の制度は存在しない
雇用保険法にも健康保険法にも、この名前の給付はありません。行政がはっきり書いています。
退職給付金という名前の制度はありません
「受給額が増える」「期間が延びる」という勧誘に注意
雇用保険の給付額や期間は法律で定められており、事業者の介入で増えることはありません沖縄労働局「「退職給付金」がありますとうたう失業保険申請サポートサイトにご注意ください」より
実際に指しているのは、雇用保険の基本手当(失業保険)と健康保険の傷病手当金です。国民生活センターも、失業等給付が「『退職給付金』などと呼ばれることもある」と説明しています。
退職給付金制度の中身は失業保険と傷病手当金の2つ
| 実際の名前 | 根拠になる制度 | 受け取れる状態 |
|---|---|---|
| 基本手当(失業保険) | 雇用保険 | 働ける状態で求職活動をしているとき |
| 傷病手当金 | 健康保険 | 病気やけがで働けないとき |
この2つは前提が正反対です。働ける状態でなければ失業保険は受け取れず、働ける状態になれば傷病手当金は止まります。同じ期間に両方を受け取ることはできません。
申請サポートの料金は22万円から77万円まで開いている
この分野の料金は公開されている社と、されていない社があります。2026年7月に、38社の特定商取引法に基づく表記を1社ずつ開いて確認しました。

| 確認したこと | 実際の数字 |
|---|---|
| 料金の幅 | 22万円から77万円。いちばん安い社と高い社で3.5倍 |
| 同じ額で並ぶ社 | 298,000円が6社。運営する法人はいずれも別会社 |
| 分割にすると | 一括66万円が分割77万円という社があります。分割で総額が上がる社と、上がらない社に分かれます |
| 価格の記載なし | 5社。特定商取引法で書くことになっている販売価格の欄が空です |
「受給額の10パーセント」のように率で示す社もありますが、率で示された場合は、受け取る見込み額を先に自分で計算しないと総額が読めません。
退職給付金制度のサポートをめぐる相談は4年で5倍
全国の消費生活センターに寄せられた相談は、4年で5倍になりました。国民生活センターが2025年12月3日に発表した集計です。

2025年度の216件は10月31日までの集計で、前年の同じ時期は90件でした。1年で2.4倍に増えている途中です。
相談の中身は3つに集中している
| 相談の型 | 内容 |
|---|---|
| 増えなかった | サポートを依頼すれば受給額が増えると期待したが、実際には増えなかった |
| やめられなかった | 途中で解約を希望したが、事業者が認めなかったり、違約金を請求された |
| 受診を指示された | うつ病などの不調はないのに、指定のクリニックで受診するよう指示された |
3つ目がいちばん重い型です。事実と違う申告で受け取ると不正受給になり、返還に加えて、受け取った額の2倍以下の金額の納付を命じられます。あわせて3倍返しと呼ばれています。命じられるのは事業者ではなく、申請した本人です。
業者に言われたとおりに書いただけでも、私の責任になりますか。
申請書に名前を書いて出すのは本人なので、責任を問われるのは本人です。国民生活センターも「事業者から事実ではない内容での申請を勧められても、絶対に応じないように」と書いています。
体調が実際に悪いなら受診は当然の行動です。問題になるのは、受診の必要がないのに診断を取りに行かせる誘導のほうです。
74万円受け取っても手元に残るのは44万円
デメリットを金額で見るなら、受給総額から料金を引いた残りで見ることになります。

30代・自己都合・雇用保険に5年加入した人が受け取れる日数は90日です。1日あたりが上限額の8,270円なら総額744,300円で、料金が298,000円なら手元に残るのは446,300円になります。
1日あたりの額は退職前6か月の給与から計算するので、上限額に届く人ばかりではありません。上限に届かない人ほど、料金が総額に占める割合は上がります。ここから国民健康保険と国民年金の保険料、前年の所得で計算される住民税が出ていきます。
いま自分がどの制度にあてはまるかは、契約しなくても確かめられます
失業保険と傷病手当金では、必要な加入期間も申請先も違います。無料診断では、退職の事情と加入状況から、どちらの話をしているのかを先に整理します。
受給の可否と金額は、失業保険はハローワーク、傷病手当金は健康保険の窓口の審査で決まります。事実と異なる申請を勧めるものではありません。
退職給付金制度そのもののデメリットは6つ
契約の話とは別に、制度そのものにも不便な点があります。ここは誰に頼んでも同じです。
受け取り始めるまでに1か月以上かかる
手続きをした日から7日間は待期といって、誰でも受け取れません。自分の都合で辞めた場合は、その後さらに1か月の給付制限があります。2025年4月1日以降に退職した人は原則1か月で、それより前は2か月でした。
ただし、退職日から5年をさかのぼって、正当な理由なく自分の都合で辞めて受給資格の決定を2回以上受けている場合は3か月になります。会社の都合で辞めた場合は給付制限がありません。
在職中の給与より少ない
1日あたりの額は、退職前6か月の給与を180で割った額のおよそ50から80パーセントです。給与が低い人ほど割合が高くなります。年齢ごとに上限があります。
| 退職したときの年齢 | 1日あたりの上限額 |
|---|---|
| 29歳以下 | 7,450円 |
| 30歳から44歳 | 8,270円 |
| 45歳から59歳 | 9,110円 |
| 60歳から64歳 | 7,830円 |
この上限額は令和8年8月1日から適用されているもので、毎年8月1日に改定されます。
受け取れる日数は自分では選べない
所定給付日数、つまり受け取れる日数は、退職したときの年齢と雇用保険に入っていた期間と辞めた理由の3つで決まります。自分の都合で辞めた場合は加入10年未満まで全員90日です。
| 加入していた期間 | 自分の都合で辞めた場合 | 倒産や解雇で辞めた場合(35歳から44歳) |
|---|---|---|
| 1年以上5年未満 | 90日 | 150日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 | 240日 |
| 20年以上 | 150日 | 270日 |
「最大28か月」という説明を見かけますが、失業保険の上限は360日です。28か月になるのは、健康保険の傷病手当金を通算1年6か月受け取り、そのあとに失業保険を受け取った場合の足し算です。しかも失業保険側で300日から360日になるのは就職困難者、つまり障害のある方など就職が困難と認められた人の区分で、本人の希望で選べるものではありません。
受給中に働いた日は申告が要る
アルバイトが禁止されているわけではありませんが、働いた日は失業認定申告書に書きます。書かずに受け取ると不正受給です。週の所定労働時間が20時間以上になると、そもそも就職しているとみなされて受け取れません。
社会保険料と住民税は止まらない
退職すると健康保険と年金は自分で納めることになります。住民税は前年の所得で計算されるので、収入が止まっても請求は続きます。国民健康保険料の軽減は、倒産や解雇で辞めた人と、雇い止めなどで辞めた人が対象です。自分の都合で辞めた場合は使えません。
失業保険と傷病手当金は同じ期間に受け取れない
傷病手当金は働けない状態に出るお金で、失業保険は働ける状態に出るお金です。順番を間違えると総額が減ります。傷病手当金には、退職後も続けて受け取るには退職日までの加入が継続して1年以上あることという条件があり、一度働ける状態になると、そのあとまた働けなくなっても再開できません。
自分で手続きする人と相談する意味がある人の分かれ目
手続き自体はハローワークと健康保険の窓口で無料でできます。依頼するかどうかは、その手間と判断をお金で買うかどうかです。
| こういう人 | 考え方 |
|---|---|
| 自分の都合で辞めて、働ける状態で、加入も1年以上ある | 判断が分かれる要素がありません。自分で手続きしたほうが手元に残ります |
| すぐ次の就職が決まりそう | 受け取らずに再就職すれば加入期間を引き継げます。料金を払う場面がありません |
| 体調をくずしていて、在職中から健康保険にも関わる | 制度が2つにまたがり、順番で総額が変わります。相談する意味があります |
| 辞め方の判定に争いがある | 離職理由の判定は日数と給付制限の両方に効きます。証拠の整理に手が要ります |
国民生活センターは「サービス内容が支払う金額に見合っているか、解約条件はどうなっているか」を契約前に確認するよう書いています。金額に見合うかどうかは、上の表のどこに自分がいるかで変わります。
契約する前に聞く4つの質問

| 聞くこと | 聞き方 | 答えが濁ったら |
|---|---|---|
| 総額 | 一括と分割で総額はいくら違いますか | 分割で総額が上がる社があります。書面で出るまで契約しない |
| 返金 | 申請が通らなかったら返金されますか | よくある質問では返金と書き、法定表記では自社に落ち度があった場合のみとする社があります。両方を読む |
| 作業 | 書類は誰が作り、誰が窓口に出しますか | 本人がやる作業は残ります。何が残るかを先に聞く |
| 受診 | 体調に問題がなくても受診を勧めますか | ここで曖昧な答えが返る相手とは契約しない |
4つ目は、答えそのものより答え方を見る質問です。行政に名指しで注意喚起されている型なので、まともな相手なら明確に否定します。
よりみちが変えられることと変えられないこと
- 金額と期間は増えません
- 法律で決まっているので、誰が関わっても同じです。増えると言う相手がいたら、その時点で話が違います。
- 変わるのは順番と判定の整理です
- 失業保険と傷病手当金のどちらを先に使うか、辞め方の判定を求める余地があるか。ここは事実の整理で変わることがあります。
- 事実と違う申請は勧めません
- 不正受給になれば返還と3倍返しの対象になり、責任を問われるのは申請した本人です。
手続き自体は公的な窓口で無料でできます。無料診断は、契約の前に自分がどの制度の話をしているのかを確かめるためのものです。
退職給付金制度のデメリットによくある疑問
退職給付金はもらわない方がいいのですか
受け取れる条件を満たしているなら、受け取らない理由はありません。判断が要るのは、申請サポートを契約するかどうかのほうです。
退職給付金で200万円もらえるというのは本当ですか
条件がそろえば届きます。45歳から59歳で雇用保険に20年以上入っていて倒産や解雇で辞めた場合は330日で、1日あたりが上限額の9,110円なら330日分で約301万円です。自分の都合で辞めた30代・加入5年なら90日で約74万円になり、4倍の開きがあります。
退職給付金は最大28か月もらえますか
失業保険の上限は360日、つまり約12か月です。28か月になるのは、健康保険の傷病手当金を通算1年6か月受け取り、そのあとに失業保険を受け取った場合の足し算です。しかも失業保険側で300日から360日になるのは就職困難者、つまり障害のある方など就職が困難と認められた人の区分で、本人の希望で選べるものではありません。
サポートを使うと受給額は増えますか
増えません。行政が「事業者の介入で増えることはありません」と明記しています。増えると説明する相手は避けてください。
受け取ると次の転職で不利になりますか
受け取った事実が転職先に伝わる仕組みはありません。不利になるとすれば、受給を長く続けた結果として空白の期間が延びた場合です。
退職給付金は税金がかかりますか
失業保険の基本手当は非課税です。傷病手当金も所得税はかかりません。ただし住民税は前年の所得で計算されるため、受給中も請求は続きます。
契約したあとで解約できますか
解約の条件は社ごとに違います。契約後の返金は受け付けないと書いている社があり、分割の残りを違約金として請求された相談も実際に寄せられています。契約前に解約条件を読んでください。

